始まりは最悪だった。この空き教室で女の先輩とよろしくやっているところを目撃して、郁也の裏の顔を知ってしまった。
最高に俺様で、腹黒で、エロくて、最低な奴。
でも。
容姿だけにとらわれるのが嫌で、期待される分だけ本当は頑張ってきたのもわかってるんだ。勉強も、運動も、王子様っていうキャラだって。
みんなが勝手につくる理想像に近づけて、自分を形成してたんだよね。本当は誰より優しくて思いやりのある人だって、私は知ってるから。
ずっと、ずっと、ずっと。
君の隣にいたいって思うよ。
「なあ俺さ、愛とか恋とかくだらねえってずっと思ってたけど、林檎に出逢って変わったんだよ」
「ふふ、知ってるよ」
「……バーカ、もう言わねえからな」
「愛はつくるもの、でしょ?」
「よくわかってんじゃん」
「できた子でしょ?」
「……愛、つくろっか?」
「それ、高校生の時も言ってたよ」
「いいだろ、別に、スタンスは変わんねえってこと」
「ははっ」
" よろこんで "
愛、つくろっか。ーー君の隣で。
【ウソつきオオカミくんのお気に入り 完】