ゆっくりと、林檎が顔を上げた。
「わたし、わかったんだ」
「うん、」
「本当に好きな人を待ってるときって、確かに不安はあるけど……信じてるから、悲しくならないんだね」
笑った林檎の顔。
これ以上のものは、何もいらないと思った。
林檎が好きだ。
世界一好きだ。
もう間違えない、もう離さない。
もう一度強く抱きしめる。
「本当にごめんな林檎……でも俺いま、すげえ感動してる……好きで好きでたまらねえ、こんなに遅刻しといて何言うんだって感じだけどさ、」
林檎が、大きく背伸びをした。
「じゃあ、……遅れた罰にわがまま言っていい?」
俺は「あたりまえだろ」なんて言ってぎゅっと林檎を抱きしめた。