思い返す、昨日のこと。

郁也のことばっかり考えていて、忘れかけてた、なんて言えない雰囲気。

でも、昨日、雄也にキスされそうになったのは本当だけどーー。


「……何回?」


郁也はくしゃくしゃっと片手で頭をかいて、視線を上げた。

もしかして……妬いてるの?


「何回って……」

「どんなのされたんだよ」

「え、どんなのって何それ、」

「激しいヤツ?」

「いやいやそんなわけ……」


って、何言ってるんだ私。そんなわけどころか、あの時雄也の胸を強く押したからキスなんてしてないのに。

何故か慌てる私を見て、郁也は自分の方へ私を引き寄せた。


「わっ……」

「クッソ……マジでむかつく……」


そのままゆっくり、座ったまま私を抱きしめる。


「別れてた期間だとしても……林檎が他の男に触られてんのとか想像しただけで無理」


私、おかしいかな。
こんな郁也、可愛いと思ってる。