またコイツはいきなりなにを言いだすんだ!ましてやここは学校だっていうのに。


「人来るから!」


顔が真っ赤になった私を見て、一瞬郁也はくすりと笑った。昨日待つって言ったくせに、この変態!


「来ない」

「来る!」

「来てもいいじゃん」

「よくない!」


お弁当、まだ残ってるよ、なんて言い訳も通用しない。段々と私の方へと寄ってきて、郁也の綺麗な指が私の頬をそっと撫でた。

バカ、どきどきしてる場合じゃないのに!

でも郁也は、鼻がくっつくくらいの至近距離で、動きを止めた。



「……何回?」


「……っへ?」



何の事だかわからない私は、そんな間抜けな声を出してしまった。恥ずかしいにもほどがある!



「だからさ、」


はあ、と一回ため息をついてから。



「雄也にされたんだろ?……キス」



郁也が、ゆっくりと顔を離した。