その日から時間が合えば、夏帆の練習に付き合った。



少しずつ上達していく夏帆に教えるのは、やりがいがあった。

夏帆もまた自分の変化を嬉しそうに喜んでいた。


「え!?皐月お兄ちゃん教師になるの?」

「あぁ。採用されればね」

「採用?」

「テストに受かればってこと」

「えー!皐月お兄ちゃんなら大丈夫だよ!教え方上手だし、優しいし」

「そう?」


「うん!私、皐月お兄ちゃんの生徒になりたい!」



「夏帆はまだまだ数年先だよ。俺、高校教師になるから」

「じゃあ、夏帆が入学する高校の先生になってね!!」

「いや…採用されればの話…」

「皐月お兄ちゃんなら大丈夫だよ!絶対!!」


満面の笑みで自信満々な表情の夏帆。


「…そっか」


その表情を見たら、採用されるまでのピリピリとしていた自分が救われたような気がした。



「俺より自信満々な顔してるよ…」


誰が自分より信じるんだ。

自分が一番、自分自身を信じなきゃいけないだろ。