夏帆の口から久しぶりに聞いた言葉ー…


覚えていたのか…

ドクン。と、心臓が波を打った。


「大人になったら結婚してくれるって約束したよね?」

「あぁ…でも、あれは…」

「夏帆が大人になっても皐月お兄ちゃんが好きだったらでしょ?」

そうだ。あの時、夏帆はまだ10歳だった。

大人になるには、まだ十分時間があった。

そして今だって、まだ14歳じゃないかー…


「夏帆はずっとずっと皐月お兄ちゃんが好き。その想いはこれからも、変わらない」

芯の強い目で、俺を見上げる夏帆。


「だから、皐月お兄ちゃんも約束は守って。他の女の人のとこにいかないで」


ドクン。


子供だと思っていたが、今の夏帆は女の嫉妬芯を丸出しだ。



俺に対する真っ直ぐな想いは、10歳の時から変わっていない。