「もうやだっ、この想いは消さなきゃいけないのに…」


「れーいちゃん!やっぱもう暗いし俺が送るよ」


李斗さんは急いで追いかけてきてくれたらしく少し息が乱れていた。


泣いていることには触れずにいてくれる李斗さんはやっぱり優しい人だ。


「じゃあ、すみませんがお願いします」


今は一人じゃ余計寂しくて苦しくなりそうだから李斗さんの言葉に甘えさせてもらうことにした。


「もちろん!断られても勝手について行くつもりだったけどね」


「それもうストーカーじゃないですか」


「まあまあ、細かいことは気にしなーい」


李斗さんのおかげで彼方のことをあまり考えずに帰れた。


「送ってもらっちゃってすみません。ありがとうございました」


「いえいえ、玲ちゃんと話せて楽しかったし気にしないで。また明日」


「ほんとありがとうございました。また明日」


「ただいま」


そう言いながら玄関を開けるとリビングからは家族の楽しそうな声。


もちろん私に気づいてる人なんて一人もいない。


まあ気づかれても無視されるだけなんだけど。


こんなこともう慣れたしさっさと部屋行こ。



バフっ


布団に倒れ込むと今日もまたあの二人の幸せそうな姿が目に浮かぶ。


毎日毎日家に帰っても考えるのは彼方のことばかり。