「かーなた!何してんのー?」


「寝ようとしてたところをお前に邪魔されてんの」


ズキッ…


いつも思う。


こんなにも苦しい思いをするならあの時出会わなければ良かったって。


いつだって彼の瞳に映るのは私じゃなくて幼馴染の仁奈さん。


だって彼女はただの幼馴染じゃなくて彼の恋人でもあるから。


「玲ちゃんも一途だよねー、彼女のいる男を好きになるなんて」


いつも私が彼方と仁奈さんを見つめてるとそう言ってくるのは彼方の親友で副総長の李斗さん。


「っ…。そんなこと、わかってます」


「なんでそんなにあいつが好きなんだか」


「彼方が、孤独だった私を救ってくれたから…」



私が中三、彼方が高一になったばかりの頃のある日の夜。


夜遅く繁華街をぶらぶらしていた私を拾って倉庫に連れてきてくれたのが彼方だった。



あれから半年__


彼方に出会って彼が全国No.1暴走族の総長であることを知り倉庫に出入りするようになっていた。



「ふーん。彼女がいても好きなんだ」


「別にこの想いを伝えるつもりはありませんから」


そう、この想いを伝える日なんてこないだろう。

「別に気持ち伝えるくらいいいと思うけどね」


「困らせたくないんです」