千尋くん……まだ私が好きだったの?



「だから今日、ほんとはお前を奪ってやろうって思ってた。だけど…」


千尋くんは笑った。


だけど、その笑顔がすごく
切なく感じたんだ。



「できなかった。矢吹のことで辛そうにしてるひな子を見てたら。笑ってはいたけど、お前すっげー辛そうで……」


「……」


初めからわかっていたんだ……


千尋くんっ……!


「矢吹に取られんのはシャクだけど、俺にとってお前が泣いてることの方が嫌なんだよ。だから……頑張れよ、ひな子。」


「ふ、ぇっ……ありがとう、千尋くんっ……」


好きになってくれて……
ほんとにありがとうーーー。


「こら!泣くな!頑張るんだろ?」


「うんっ!」


無理に口角を上げて笑った。