それからしばらくは、宿題とおばあちゃんの畑仕事の手伝いに専念していた。

「桜ちゃんの好きなトマト、まだ育ちきってないから熟れたらお家に送るわね。」

「ありがとうおばあちゃん。」

おばあちゃんが顔を上げて汗を拭った。おばあちゃんは、毎年庭で獲れた野菜を箱一杯に詰めて送ってくれる。その野菜があんまり美味しくて、私はお菓子を好んで食べなくなった。おばあちゃんが毎日丁寧に世話をするから、大地がおばあちゃんに恩返しに美味しい野菜をプレゼントしてくれるんだろう。

「桜ちゃん、手伝ってくれてありがとうね。これ、お小遣い。夕方そこの神社でお祭りするみたいだから行ってらっしゃい。」

おばあちゃんは私の右手にお札を何枚か握らせてくれた。ありがとう、と言うとおばあちゃんはいたずらっぽく笑った。