11月。
こっちは東京より少し寒く感じる。
修学旅行も終わり
千秋が連絡をくれた。

相変わらずモテモテなベンは
修学旅行中に告白を何人にもされていたってことや、
野中先生が10月に結婚してたこと。
未来と祐介が付き合いはじめたことは、
私も嬉しかった。


「亜子ちゃん、最近どう?レギュラーになった?」
本当は、ベンと亜子ちゃんがどうなってたかを聞きたかったけど、怖くて聞けなかった。

「ったくー!真凛は素直じゃないなー!亜子ちゃんがレギュラーになったかどうかじゃなくて前田とどうかってこと。聞きたいんでしょ?亜子ちゃん、可愛いもんね」

「…。」
図星過ぎて何も言えなかった。
でも、半年以上離れているのに私の事を理解してくれたままでいてくれることが
すごく嬉しかった。

「あの2人は最初から付き合ってないよ。それに亜子ちゃんは、今はモデル事務所に入ったから部活も辞めちゃったんだよ」

「へぇ〜!そうだったんだ」

「声が嬉しそうだね」

「あはは。」

少し心が楽になった気がした。
あの頃からずっと聞きたくて
でも聞けなかったことがこんなにも簡単に済んでしまったことに、少し笑えた。

「で!どうなの?そっちにはイケメンいたの?」

「えぇ!うん、まぁそれなりに…かな?」

「あー、はいはい。いないのね!」

「え?それなりにって言ってるじゃん」

「今の真凛の返事は、前田以上の人はいません!て言ってるのと同じだよ」

またこれも図星だった。
たしかに、カッコいい子も
優しい子もいるし…


ベンみたいに意地悪な子なんていない。

みんな優しくしてくれるんだ。
でも…

ベンのことが忘れられない。


「やっぱりあの時告白してれば良かったのに」


そんなこと言われても、
中学生の遠距離恋愛なんて
たかが知れてる。


お金も自由もない。


付き合うってなに?


みんな付き合いはじめると
一緒に下校したりするけど…
他に何があるの?


下校も出来ない。

顔も見れない。


そんな私に付き合う資格なんてないし。
それがわかってるのに告白する勇気もない。


「いいの、いいの!こっちでステキな彼見つけるからー」

「彼氏出来たら連絡1番にしてよね。
私も野中っちなんて忘れてさっ!高校でカッコいい彼氏見つけるんだー」

「うん。そうだね!」



ベンのこと以上に
好きになれる人なんて現れる自信ないや…。