翔君は 中々チーズケーキが好きなだけあって、私が知ってる店ではない店を 沢山知ってるみたいで 今日の店も 私好みの濃厚なベイクドチーズケーキで 大満足な味で デート&スィーツのダブルな甘い物で、私は小さな幸せを感じていた。

マンション前まで翔君が送ってくれたのだけれど、後ろから抱きしめられた。
翔君は横にいる…振り返ると、お兄ちゃんだった。

「月夢お帰り。何で翔と一緒にいんの?」

「お兄ちゃんただいま。あのね、今日ケーキ食べに行く約束してたのは翔君だよ。私も翔君もチーズケーキが好きだから お店に一緒に行ったんだ。」

「翔…どうゆう事かな?」

「結弦、月夢ちゃんの言葉通り チーズケーキを食べただけだよ。ダメだった?」

「ああ、食べただけならな。じゃあさ その手は何だよ?」

あっ 翔君と違和感なく繋がれた手を指差されて ちょっと焦る…

「お兄ちゃんも私と歩く時 手を繋ぐじゃない?だから 別に変じゃないと思うんだけど…」

「俺と翔では 意味が違うんだよ…」

「翔、俺裏切られた感じがする。帰ってくれよ…」

「お兄ちゃん?何で?」

「早く帰るよ月夢。こっち来て…」

ぎゅっと肩を抱かれて 翔君から離された手。

「翔君、今日はありがとう。バイバイ…」

「ああ月夢ちゃん。また行こうね!」

ホントに次はあるのか?この気不味い感じ…
お兄ちゃんは無言でエレベーターに私を連れて乗り込む。

こんなにも 沈黙が不自然で ぎこちない時間の中を息を潜めていた。

お兄ちゃん…どうしてそんな怖い顔をしているの?私 翔君と一緒にいちゃだめだった?