鬱陶しいから適当に受け流しつつ、わたしは必要な食器やら調理道具の数を計算してた。


「たらしこんだんでしょ? それしか有り得ない」

「ヤだぁ~。ちょっとキレイだからってぇ」



ため息と言い知れぬ疲労感がさっきから止まらない。



それしか有り得ないって……、


どんだけ貧困なのよアンタの発想!




しかも、ちょっとキレイ?


ちょっとじゃないわよ、アンタらより大分キレイだからっ!




今すぐにでも叫んでやりたいのをぐっと飲み込んだ。



そんなことしたら何倍にもなって返ってくるのは十分わかってるから……。



「樹野くんってその程度なの?」


「えっ?」

「その程度って……?」



わたしが呟いた言葉に、目の前の二人は首を傾げてる。



「わたしなんかがたらしこめちゃうくらいの男なの、って聞いてんの」



アンタらが崇拝してやまない樹野 鷹楽をアンタらはそんなに軽く見てるの?



って続けたら彼女たちは、


「有り得ない!! 鷹楽くんはそんなんじゃない!!」


「そーよ! 浅野さん変なこと言わないでよ!」


って、首が取れそうなくらいブンブン振って否定する。