「どういうつもりっ!? なんでわたしを推薦したりするのよっ!!」


乱雑に物が積み重なった国語準備室に入った瞬間、



わたしは自分と扉の間に樹野くんを挟んで、噛み付く勢いで口を開いた。



「わたしは絶ッッ対やらないからっ! いくらだっているでしょ? 樹野くんとやりたがる女の子なんて!」



キョトンとした顔でわたしを見下ろしてる樹野くんに、言いたいことをぶつける。



どんなつもりか知らないけど、わたしにこんな役やらせようなんて悪ふざけ……通用しないから。



「帰る。どいて」



扉に貼り付いた樹野くんの腕に触れながら、わたしは吐き捨てる。



その瞬間、



「朝のこと……忘れたの?」



樹野くんの腕に触れたわたしの手を引き、無駄に顔を寄せてくる。



「ちょ、ちょっと! 近いっ……」

「自転車パクろうとした女が偉そうにデカい口叩いちゃダメでしょ? チクるよ」



わたしの顎を右手に掴み、無理矢理に視線を合わせる。



そこに映るのは、やっぱり人懐っこい笑顔の樹野くん。



さっきまでと違うのは、



一回り以上は大きな体に覆われたやたらに密着した体……。