「横峰部長はいらっしゃいますか?」
あれから時々、彼女はやってくる
でも部長は彼女と話そうとしない
「悪いが、これから打ち合わせがあるんだ」
確かに部長は忙しい
でも、はっきりわかる
部長は彼女を避けている
「笹倉、お茶〜」
打ち合わせに入る前は
必ず私にお願いをしてくる
来客人にも
私が煎れるお茶は美味い、と
我が物顔で自慢する始末
でも、本当に美味しいらしく
もう一杯、とおかわりがかかるくらい
『わかりました、今行きます』
立ち上がり、給湯室へと向かう
ちっ、
空耳だっただろうか
私は立ち止まり彼女の方を見ると
目が合ってしまった
その目が、私を睨みつけている

