名前は知らない
つい最近、異動になった女子社員だ



「あれ、亮平さん?」



そう話しかけてきた
亮平…、横峰亮平、部長の名前だ




「…れ、玲奈」



驚いた顔をしていた
部下なら下の名前なんて呼ばない
そういう関係って言うのは明らかだ

チラッと私の方へと視線を送ってきた
あ、お邪魔?と
先に行きます、とその場を立ち去ろうとしたら
俺も行く、と
彼女…玲奈さんを置いてきてしまった



『いいんですか?彼女、話したそうでしたよ?』


「俺は話すことはない」



踏み込むな、ということか
私には関係ないことだと
それ以上のことは聞かなかった



そう、私には関係ないこと…