「楓と付き合うようになって…、詩織さんとも顔を合わすようになって…やっぱり好きなんだ、て気がついた」



好き、という言葉に胸に痛みが走る

やりきれない気持ちに
区切りをつけるため
達彦は詩織お姉ちゃんに告白をし
フラれようと決意した


でも、詩織お姉ちゃんは
それを受け止めてしまったという



『…詩織お姉ちゃん、が…、』




何かが私の中で崩れていった



「楓、ごめん。俺…結婚できない」



ごめん、と言って達彦は席を立つ
その姿がスローモーションに見え
達彦を止めなきゃ、と思うが
声も出ないし身動きも取れず
ただ、達彦の背中を見ているだけだった



私に残されたのはピアスの留め具