自分の部屋の前なのに
なかなか鍵を指すことができない
怖いのか、
ふう、と息を吐く
ガチャ、と鍵を開け
ゆっくりドアノブを回した
「大丈夫、問題ない」
私が入る前に横峰部長が
部屋の中をチェックしてもらった
部屋は出たまま
触れたくないものはゴミ袋に入ったまま
中身が無くなってしまった
ガラスが割れた写真たて
『部長、色々とありがとうございます、』
明日は休み
この部屋を片付けないといけない
引越し業者に依頼するにしても
ある程度、まとめなくてはならない
大丈夫、
鍵もかけて
チェーンもすれば、平気
そう自分に言い聞かせていた
そうでもしないと
この部屋にいることさえもできないだろう