部屋の鍵は思わぬところから出て来たのだ
それは就業時間残り1時間と迫っていた時
里奈が駆け足で私の所へ来た
「楓先輩、大変です!」
これ、と里奈が手のひらを見せてきた
そこには無くした鍵、
母からもらったビーズのクマも付いている
『里奈、これどうしたの?』
「掃除の松原さんに会ったんです!そしたらゴミ箱に入ってたって言うんです」
委託業者から派遣されている
掃除の松原さんはベテランさんだ
私より長くこの会社に出入りしている
どこのゴミ箱かと聞くと
絶対私が行かない所
1階の備品室のゴミ箱
備品室なんて行く人は限られている
私たちが必要な備品は全て総務を通さないといけないのだ

