『頼れません。…心配、かけたくありません』
そういうしかない
実家なんて数年帰ってない
別に両親と喧嘩をしたわけではない
たまに母から野菜やら果物やら
送って来てくれる
ただ、必要以上に連絡を取らない
電話もしないし
かかって来ても出ることはない
関わりたくないのだ
余計な事を耳にしたくない
『無理を言って、すみません』
「…ちょっと待って、」
そう言うと
部長は誰かに連絡し始めた
電話から漏れた声が女の人だ
聞き耳をたてるのも失礼かと思い
目の前に並べられた食事に手をつけた
少し冷めたオリジナルのピザ
口にすると冷めても美味しい
思わず、美味しいと声が出てしまうほどだ

