ジリジリ、と頬が痛い
口の中は血の味がする
何発殴られたか、覚えていない
「待て、こらぁ」と
聞いたことがない声の健ちゃんは
もう私が知っている健ちゃんではない
月がぼやけて見えるのは涙のせい
もう、逃げられない
「楓、愛してる」
ぼやけて見える健ちゃんの顔が近づいてきた
もう抵抗する力すらない
唇に触れてきた健ちゃんの唇は冷たく気持ち悪い
健ちゃんの手が私の足を持ち上げた
その手すら冷たくて気持ちが悪く吐き気がする
「楓っ、」
自分のモノが不完全だったのか
私へ擦り付け、興奮し始めた健ちゃん
気持ち悪い
あんなに優しくて頼りにしていた健ちゃん
でもあれは嘘だったわけだ
私って本当に男運がないな
亮平さんの事を信じていたら
こんなことにはならなかったかも
亮平さん…

