店に行った、と伝えた途端
何を飲んだ、とか
オーナーは元気だったか、とか
店の雰囲気、とか
里奈の話、とか
まるで私に隙を与えたくないように
亮平さんは話しだした


亮平さんに聞こうか悩んでいた数分前
でも今は
白だと思っていたことが
黒に近いグレーになっていた


「やっぱり最後に行けば良かっ…」


『嘘、ついたでしょ?』


しびれを切らした私は
亮平さんの言葉に被すように話しだした


『亮平さんは、お姉ちゃんと彼氏が話し込んでいたから先に帰ったって言った。でもお店の人に聞いたら、話し込んでいたのは亮平さんとお姉ちゃんで先に帰ったのは彼氏の方だって…。…どっちが本当なの?本当に亮平さんはお姉ちゃんとただの知り合いだったの?…本当は昔、付き合っていたんじゃないの?』