手に取ろうとした時
ビニール袋がガサゴソと動いた
ひっ、と小さな悲鳴に似た声が溢れる
「…笹倉のか?」
何が入っているかわからない
首を横に振ると
横峰部長が手に取り中を確認した
部長の眉間にシワがよる
また結び直し、二重に結んでいる
「ロッカー、見せて」
少し部長が怖い気がしたが
どうぞ、と一歩下がる
今日も変わらずの嫌がらせ
でも今日もビラだけ
『昨日、今日はまだいい方です』
「これがいい方なのか?」
手にした黒い袋を私に見せる
中に何が入っているかわからないが
多分、生き物だと思った
『…それは初めてです』
いつも笑顔な部長の顔は
今日だけは違った