「楓、あの時は本当に申し訳ないことをした。謝って許されることじゃないのはわかってる。…でも、楓を失って、気がついたんだ…だから、」




一歩ずつ近づいてくる健ちゃんに
少なからず恐怖が芽生えていた
何を言っているのか?
私に何をしたか、何を言ったか忘れたの?




「楓、そちらの男性…紹介してくれる?」




私を引き寄せ自分のもとへと引き寄せた亮平さん
健ちゃんの顔が強張ったのがわかる

大丈夫…
今の私には亮平さんがいる




『伊東、健一さん…』



そう紹介するのが精一杯だ
亮平さんにどう伝わったか不安だったが
私を支えてくれる手は温かい
大丈夫だよ、と伝わってくる