亮平さんの手が
悔しそうに握っているのが目に入った

玲奈から私を守るために
色々考えて動いた結果
私に何も言わずに動いていたという
それが返って私を不安にさせたわけだ



「周との約束は守りたかったよ。でもあの頃の俺は餓鬼で何も出来なかった…悪い」



オトナの事情で
亮平さんは周先生に何も伝えられず
引っ越してしまった事を
今でも申し訳なく思っているようだ



「…今更いいよ。だけど、楓ちゃんを傷つけるな…これだけは守れよ」



そう言って周先生は
医務室から出て行ってしまった




ここは医務室
私は患者の身でここにいる
亮平さんが心配そうに見ていたのは
私の左頬
真っ赤に腫れているのだ