失恋の傷には媚薬を




“取締役 笠原俊夫 解任、辞職”



その一方が入ったのは
私が給湯室にいる時だった
社内メールで知らされた、緊急人事



『…横峰、部長』



お茶をデスクに置いた私は
恐る恐る亮平さんに話しかける




「お茶、サンキュー」



いつもと変わらない亮平さんに
ほっとする気持ちと知りたい気持ちが交わる
一息ついたのか
熱いお茶のはずなのに
ごくごく、と飲んでしまう亮平さん



『少しゆっくり飲んでください』



「悪い悪い、喉乾いてた」



ニカッと笑った亮平さんに
ついつられて笑ってしまう



「今日さ、、」



亮平さんが言いかけた時
バタバタと足音が聞こえてきた