失恋の傷には媚薬を



フロアがざわつき始める
それは会議が終わったことを表した
フロアから見える廊下を歩く役員の顔は
いつもの会議終わり、と言うわけではなく
皆、険しい顔をしていた



「横峰部長!」



フロアに戻ってきた亮平さんに
みんなが集まっている
どうなった、とか
なにがあったのか、とか

亮平さんはネクタイを緩め
みんなを宥めている
私もどうなったか知りたくて
亮平さんを見ていたら目が合ってしまった



「笹倉、お茶」



『…えっ、あ、はい』



すっかり忘れていた
いつも会議終わりは
お疲れ様の意味を込めて
亮平さんが好きなお茶を煎れていた

急いで給湯室へ行き
お茶の準備をしていたら
またフロアが騒ついた