失恋の傷には媚薬を



まだ仕込みの途中
だからセーフなんだけど
遅くなってでもいいから
来て欲しかったのだ

いや、
遅くなってもいいなら行くよ、と
亮平さんから言って欲しかった



「多分、遅くなる。終わった後も食事に行くだろうから…。本当にすまん」



『…な、なら、』



遅くてもいいから寄って、と言いたかった
でも、電話越しに聞こえた呼び声に言えなかった
私が休みでも
亮平さんは仕事

部長、時間です
その声に何も言えなくなってしまった



「悪い、会議だ」



うん、お仕事頑張って…、
そう伝える前に切られてしまった
忙しいのはわかる
接待もわかる…理解しているつもり


でも…
過去にも似たようなことがあった
嫌でも重ねてしまう