失恋の傷には媚薬を



靄がかかったままの心
前までの私なら
その靄を晴らすために行動していただろう
でも、過去のトラウマ
それと
亮平さんからの言葉が怖い



その靄はさらに濃くなっていく




「すまん。日曜日、無理になった」




『…むり?』



それは土曜日の夕方
明日の日曜は
私の家で過ごす予定で
もう夕食の材料も買い
仕込みをしていた時だった



「すまん、得意先から急にゴルフに誘われて」




俗に言う接待ゴルフだ
接待ゴルフは今までにも何度かあった
ただ、急にっていうのは初めてだ



『もう明日の仕込みしちゃったよ』


キッチンをチラッと見る
切られた野菜と
今から調理しようとした肉の塊