お茶を煎れている間も
何故かずっと給湯室にいて
ずっと私の動作を見ていた横峰部長



気が散ります、と言えば
どういう風に煎れているのか見たい、と


変な人だ
誰が煎れても変わらないだろう
確かに客人用の茶葉は高級だ

でも今煎れているのは
社員用の安い茶葉
うちの社員とわかった以上
高級茶葉は使えない


『どうぞ』


見た目の色も明らかに違う
気づいていないのか
サンキュー、と言って口をつけた



「やっぱり、美味い」


ほら、やっぱり
安い茶葉でも高級茶葉でも
味なんかわかんないんだよ
誰にでも言ってるんだよ、と思った



「安い茶葉でも、煎れ様には美味くなる」


ごちそうさん、と
給湯室から出て行った