今回の企画は『ハワイアンのお店』だ。

私はハワイが大好きで何度も訪れている。きっと上司がそれを知って私を抜擢したのだと思う。

資料に視線を落とし、じっと岡崎部長の説明に耳を傾ける。


「ハワイアンのお店、世間では出遅れているだろう。だが、その出遅れを新しい感覚を加える事で追いつき、追い越していきたい。」


確かに世間では出遅れているだろう。岡崎部長の言葉に相槌を打っていると―――


「青山さん、大きく頷いているようだが?」

「えっ?」


突然の指名に視線を岡崎部長へと向ける。その顔は愉しそうで思わず顔が引き攣る。


「青山さん、出遅れていると思われてる?」

「………はい、少し。ただ今回のプロジェクトは『新感覚のお店』、そうお伺いしております。」

「ああ、そうだね。青山インテリアさんにはぜひ腕前を披露して頂きたい。」

「勿論、最善は尽くさせて頂きます。」


真っ直ぐに岡崎部長を見据えて答えるが、何故かニヤリとする口角を上げている。そこへ渡部さんが割って入ってきた。


「岡崎部長、青山はハワイに何度も訪れております。期待に添えるように頑張らせて頂きます。」

「何度も………ね。」


その時、脳裏に浮かんだのはハワイの海での出来事だった。