諦めて大人しく蒼大さんの後ろを歩く。


「花、飯は?」

「食べたばかり。」

「なら、俺の部屋で話すか?」

「はっ?カフェでいい。」

「食べたばかりだろ?俺の部屋に案内する。別に花に部屋を知られても問題ないし。」

「いやいや、止めとく。カフェでいいって。」

「もしかして犯されるとか思ってる?ないから。」

「いやいや、止めとこ。」


二人で押し問答をするが、結局は腕を掴む蒼大さんの後ろを歩く私は部屋へと案内された。

部屋のベランダにある椅子に案内される。目の前にはビーチ、海が一面に広がり、眺めは最高だ。


「待ってて、飲み物を取ってくる。」


ベランダから海を眺める。ハワイって感じの景色が広がっている。

蒼大さんが隣の椅子に腰掛けた。


「花。」

「何ですか?」


隣の蒼大さんを見る。蒼大さんはミネラルウォーターを飲みながら海を眺めている。


「勘違いしてる。昨日はナンパしたんじゃない、されたんだ。」

「でも楽しそうに話してたから。」

「そりゃムスっとして対応は出来ないだろ。同じ日本人だし。」

「ふ~ん。」

「旅先では日本人同士って、知らない人でも仲良くなりやすいだろ。『どこから来たの?』とか『今、何してるの?』とか会話してただけ。」