のんびり後ろから歩いてきていた波羽と悠祐さんが合流する。

波に揺られながらプカプカと浮いてみる。


「波ちゃんって………本名?違うよね?」


悠祐さんの鋭い一言に体がビクリと反応してしまった。突き刺さる視線はきっと蒼大さんだろう。

だけど波羽は冷静に答えていた。


「波が本名じゃ可笑しいかな?」

「えっ、いや、別に変ではないよ。」

「でしょ?ところで、悠祐さん達はどこら辺に住んでるの?東京とか?」


少し戸惑いを見せた悠祐さんに別の話題を振る波羽を尊敬してしまった。

私なら動揺を見破られたかもしれない。


「俺達は東京出身。波は?」

「私達も。もしかしたら帰国してから、偶然、会っちゃうかもしれないね。」


クスリと笑う波羽は小悪魔のようだ。可愛らしい顔で妖艶な一面を覗かせる。

チラリと蒼大さんを見れば、一瞬だが鋭い視線を向けられていた気がした。

だがすぐに、笑みを浮かべる蒼大さんは仮面の下に何か隠しているように見えた。