父の眉間に皺が寄る姿が目に映る。


だけど気にする様子もなく、話を続ける蒼大さんを見た。



「一花さんは少し誤解しているだけです。」


「誤解とは?」


「今は一花さんと少し喧嘩をしておりまして。すぐに仲直りする予定ですので、お父様は心配ご無用です。」


「まあ喧嘩ぐらいはするだろう。一花の気の強さも原因だろう。」



父は頷きながら、蒼大さんの話に納得してしまっている。


父と目が合う。



「一花、あまり迷惑を掛けないようにしなさい。岡崎さんもお忙しい方だろうし、岡崎さんの親にも印象が悪くなる。」


「………。」


「岡崎さん、一花を宜しく頼みます。」


「はい。」



満足そうな表情をする父、笑みを浮かべる蒼大さんを交互に見た。


蒼大さんは私よりも父を先に落としに来た。


間違いなく逃げ場を塞ぐためだ。



「一花、ランチでも行ってきなさい。」



父の満足そうな表情に唇を噛み締めた。


蒼大さんの思惑通りに事が運ばれていくのが悔しかった。