蒼大さんを見れば、知らん顔で父に話始めた。

『結婚前提?』

そんな事は言われてな………

あっ、言われたかもしれない。


「実は数年前に一度付き合ってましたが、訳があって離れてしまいました。」

「そんな前から?」

「今回のプロジェクトで再会して、お互いの年齢を考えると『結婚を前提とした付き合いの方がいいのでは?』となりまして。」


父が大きく頷きながら、蒼大さんの会話を聞き入っている。


「実は週末にお伺いして挨拶をさせて頂く予定でしたが、少し喧嘩をしてしまいまして。」

「聞いてるよ、一花から。」

「本日は少しでも早めに挨拶をさせて頂きたく、仕事中ですがお邪魔させて頂きました。」


頭を下げる蒼大さんを父がじっと見つめている。その二人の様子を見ているしかなかった。


「一花は気の強い所があるから大変でしょう。」

「いえ、そこを含めて気に入ってますから。」

「一花、わざわざ挨拶に来て頂いたんだ。ランチでも一緒にしてきなさい。」


父は上機嫌なようだ。