二人からの要望はもう一つあった。

それは――――


「花、フリーだよね?」

「えっ?」

「だから彼氏と別れたんでしょ?」

「えっ?あっ、まあ。」

「まさか新しい彼氏がいるの?」


目を見開き驚いた表情を見せる琴音に私は大きく首を横に振る。


「いや、いない。今はいない。」

「ふ~ん、私も波もいない。」

「あっ、うん、そうなんだ。」


興味無さげに返事をすれば、目の前に琴音の顔が近づき、後ろに体を退いた。

じっと目の前の琴音を見つめる。


「折角だから…………『バカンスでの恋』をしてみたい。」

「はっ?」


琴音の顔から隣にいる波羽に視線を向ける。呆れた顔をする波羽から琴音に視線を戻す。


「だから『バカンスでの恋』をしてみたい。」

「………意味が………。」

「いい男を見つけよう!社会人になる前に弾けてみたい!」

「………弾けてみたい?」

「そう!『甘いバカンスの恋』がしてみたい。」


無茶ぶりをしてくる琴音に固まる。波羽に優しく肩を叩かれ、視線を向ける。