『浮上』


水面に映る疲れた顔を
飛び込んで砕いた夏の午後

上に居たって息が出来なくて
下に行ったって胸が苦しくて

此処なら誰も来ないだろうって
拒絶したくせに
まだ底に誰か見えないかって
目を開いてる

揺らぎながら
沈みながら
青い世界で何をしようか

ふやけてく指
鈍る痛覚
剥がれそうなかさぶたと
爪先で掻いた水

目に染みて瞬きをしたその刹那

思い出したのは遠い過去

ちょっと幼くて頼りなくて
それでもただ当たり前に息をしていた
そんな日々

馬鹿にされたって
袖にされたって
取り戻せるなら頑張れるよ

もがきながら足掻きながら
僕はまた浮上する

そこに何か見えそうだって期待して