その時だった。


本当に、本当に小さな声。音。


「ソエェ...こっちぃぃ...」


はっとして動きを止める。これは、桜花の声。


怖い。五感すべてを研ぎ澄まし、冷や汗を拭いながら耳を澄ませる。


するとまた、

「みぎぃ...そしてひだりぃ...そこにいるよぉぉ...助けてぇぇ...」