「きゃああああ!」

人々の悲鳴が上がった。

何とか、避難勧告は出していたが、まさか巨大生物が、襲ってくるとは思わなかった。

それも2匹。

平城京跡に、カブトムシを誘き寄せる為に置かれた大量の樹液と、一定の信号に導かれ、

予定通りに来たカブトムシ。

そして、それと戦う為に、生駒を越えて、やってきたコブラ。

五十メートルをこえる巨体が、奈良の中心地近くで、激突した。


「何もないとは…いえ…」

周囲に配置された自衛隊は、ただ市民を避難させるしかない。


カブトムシは、平城京に着地する寸前…そばにあった百貨店を破壊し、立体駐車場を、ぺちゃんこにした。


「攻撃しますか?」

隊員の言葉に、隊長は苦虫を噛み潰したような顔になり、

「我々の攻撃は…玉を無駄に使うだけだ」

悔しそうに、一応装備した戦車の表面を叩いた。


隊長の目の前で、カブトムシとコブラの死闘が始まった。

毒霧を放つコブラに向かって、カブトムシは突進した。

しかし、コブラの体はあまりにも細く、カブトムシの角を避けると、カブトムシの表面に、噛み付こうとしたが、凹凸のないカブトムシの表面に、噛み付くには顎の大きさが、足りなかった。

普通のカブトムシと、蛇の対比ではなく…どちらも五十メートル以上あるのだ。

全長百メートルはあるコブラの半分の大きさがある…カブトムシ。

なかなかに手強い。

コブラは、口を離すと、尻尾を叩き込んだ。