「まあ…わかったと思うが…。一応生活はできる」

向こうの生活空間にいたシートが戻ってきて、画面にかじりついていた真由のお尻を強打した。

「痛!」

思わず飛び上がり、そのまま…真由はシートの上に、倒れこんだ。

「が、学校はいけるんでしょうねえ!」

お尻を押さえながら、真由は潤一郎を睨んだ。

「心配するな。休学届けを出しておいたわ」

平然と言った潤一郎の映る画面に、真由はまた顔を近付け、

「はあ〜!義務教育に、休学届けなんて出せるのか!」

「心配するなと言ってるだろ…。社会の為、この世界を守る為じゃ!喜んで、休みを特別にくれたぞ!」

「し、社会…世界の為って…」



「お祖父様…。ターゲット同士が遭遇しました」

特別画面に現れた…女に、真由はぎょっとなった。

「まどかお姉ちゃん!」

親戚の中…いや、日本でも1、2を争う秀才で、全国模試はつねに上位。あまりに天才過ぎて…東大もレベルが低いと合格してもいかなかったという…変わり者でもある。

つねに出す論文が、学会を震え上がらせる…狂乱の科学者ともいわれている。

最後は…物凄い兵器を開発したとかで、世界にメンチを切って…大揉めるに揉めて、それから姿を消していた…まどかが画面の向こうにいた。 

「お久しぶりね。真由ちゃん」

眼鏡を人差し指であげると、まどかは微笑んだ。



「状況は、どうなっておる?」

潤一郎の言葉に、まどかがこたえた。

「生駒から、線路伝いに東へと向かったコブラは、西大寺駅向こうの平城京跡で、カブトムシと遭遇!只今、バトルに入った模様です」

まどかの眼鏡が、妖しく光った。

「そうか…」

潤一郎は、画面向こうで卓袱台のそばから立ち上がり、

「こちらも、用意するぞ!監視衛星で、逐一やつらの動きを報告するのじゃ!」

潤一郎は、まどかを見て、

「帝国陸軍所属…銃刀機神!別命!ガンスロン発進準備じゃ」

「はい」

まどかは頷いた。