「何をさせる気なのよ!」

狭いコクピット内で、じたばたしだす真由に、潤一郎は慌てた。

「やめろ!ここで暴れるな!」


「お祖父ちゃん!」

真由は、画面に顔を近付け、

「ここから出して!出しなさいよ!」

「それは、無理だ!」

あっさりとこたえた潤一郎に、真由はキレた。

「はあ〜?」

潤一郎は、できるだけ孫の顔を見ないようにして、恐るべき事実を口にした。

「お前は、すべてが終わるまで、ここからでることはできない」

「はあ〜?」

「心配するな!後ろの部屋には、風呂とトイレ…ちゃんとリクライニングルームも用意している。勿論、着替えもお前の部屋から、持ってきた」

「は、はあ?」

「椅子の右側にあるボタンを押せ!」

と言われたが、真由が押す前に、突然椅子が後方に、スライドし、コクピットを出ると、勝手にシートが倒れた。


真由は、後方に下がる勢いと、シートが倒れたことにより、後転するかのように、一回転して、後ろの部屋に転がり込んだ。

「く、首が…」

軽く首を捻った真由は何とか体勢を整えると、2畳くらいしかない部屋を見回した。

端には、折り畳んだ布団と、簡易クローゼットがあり、着替えと下着が、無造作に置かれていた。

真由は慌てて、服をチェックしたが、学生服と……下着も白しかない。

「まったくけしからん!」

真由が、服をチェックしていると、潤一郎の声がコクピットから、聞こえてきた。

「中学生のくせに…こんな下着!」

慌ててコクピット内に、這い戻った真由は、画面の中で自分のパンツを指で伸ばしている潤一郎の姿だった。

「きゃあああー!」

絶叫する真由の前で、大量に籠に入れられた自分の下着と、衣服。

「学生は、普段は学生服だけで十分じゃ!わしらの時代はな〜」

「いつの時代よ!」

真由は画面に顔を近付け、

「あたしのパンツから、手を離せ!あたしの服に触るな!」

「…」

孫に睨まれ、仕方なく潤一郎は、パンツを籠に入れると、画面の向こうへ押しやった。