「また…奇襲か」

潤一郎は、少し離れた海岸線上に現れた…巨大猿を睨んだ。

猿はなんと、海中に潜んでいたのだ。

しかし、それより、潤一郎が驚いたのは、

猿が武器を持っていたということだ。

「知能がある……敵か」



猿はまた、ブーメランを投げて来た。

「舐めるな!」

まどかの眼鏡が光り、キーボードに指を走らせた。

「ガンスロンカッター!!」

ガンスロンは上昇すると、回転する円盤状の下半身から、無数の刃が飛び出して、電動ノコギリのようになり、ブーメランを真っ二つに切り裂いた。


「…両手は動かない。ミサイルは数少ない…」


おもちゃを破壊されて、頭に来た猿は、目には止まらない素早さで、ガンスロンの後ろへと、移動した。


「せめて…ミサイルがもっとあれば…」

ガンスロンは回転し、猿に体を向けた。

猿は、砂浜を足でかくと、そこから鋼鉄の棒を手にした。

「どこから、調達したんだ?」

潤一郎は苦々しく、鉄棒を睨んだ。

猿は、鉄棒を引きずりながら、近づき、

上半身を捻ると、鉄棒をガンスロン向けて、切り上げるように、棒を振るった。


「こんな攻撃!」

ガンスロンは、下部の大型バーニアが火を吹き、一気に上昇した。

猿の放った鉄棒は、ガンスロンの下部バーニアに、少しかすった。

「両手さえ…使えたら…」

まどかは、ミサイルを発射しょうとしたが、対象物が動き回わっていることと、キャノンの照準が合わせられないことに、

苛立った。

(追尾ミサイルがない…)

しかし、キャノンが当たらない今、ミサイルは最後の武器となっていた。


猿は下で、鉄棒を振り回し、上空のガンスロンを威嚇していた。


「チッ」

まどかは舌打ちすると、画面をかえ、ガンスロン内部を映した。


そして、まだ蹲っている真由に言った。

「真由ちゃん…」 

まどかは、叫んだ。


「戦って!」