真由が、レバーを適当に前に押し出すと、

ガンスロンの左手はコブラの後頭部を掴み、捻った。

[ぐぎぁぁ――!]

コブラは、妙な声を上げた。

「レバーを引け!」

潤一郎の指示通り、レバーを引くと、ガンスロンの左手は、三本の鋼鉄の爪が、コブラの後頭部の肉を引き契った。

あまりの痛みに、コブラは暴れ、絡み付いていた体が外れ…その反動で飛んできた尻尾が、ガンスロンの左腕を強打した。



「ガンスロン!左腕が、今の衝撃で、配線の何本かが切れ…動かすことができません!」

まどかの驚いた声に、

「たった…一撃でか?」

潤一郎は、親指の爪を噛み、

「もう一度…耐久性を計算しなおさなければ…ならないな」



「ガンスロン!一度、後方に下がります」

まどかの操作で、ガンスロンは空中を滑るように、二匹と距離を取った。

「しかし…」

潤一郎はにやりと笑い、

「これで…真の力で戦える」


ガンスロンの動かなくなった左手の先から、コブラの肉がこぼれ落ち、

その中から光る玉が現れると、ガンスロンの心臓部分の装甲の中にある…コクピットに吸い込まれていた。


そして、先程の移動で、シートに押しつけられていた真由の胸の中に、玉は入った。

「な、なんか…入った!」

気持ち悪そうに、顔を歪めた真由に、潤一郎は言った。

「これで、我々も、この戦いに、参加する印が、手に入った!」

潤一郎は、身を仰け反らし、大笑いすると、

「これで、ガンスロンの体に直接、装備されているものは、ガンスロンの固有の能力と認識され……効くのじゃょ!ミサイルがな!」

潤一郎は、まどかに向かって、指令を出した。

「印を失った…脱落者に!プレゼントじゃ!」


まどかの前にあるディスプレイに、ガンスロンの全身が映り、マウスで反転させると、ミサイルポットをクィックした。

「発射します!」