「ロンがなぜ…神を裏切ったと思う!ロンは、お前を守る為!お前の為に、裏切ったのだ!」

潤一郎は、真由を指差し、

「ロンの肉体をプラスしたガンスロンは、いわば!ロンの分身!お前以外では、動かせない!そして!」

潤一郎はさらに、指先を近付け、

「この戦いに参加するには、人間が直接…印を得なければならない。お前は印を得、ガンスロンと一体となって、戦いに参加し、五体の化け物を倒さなければならない!」

「ええ―――っ!」

「だから、お前はこのガンスロンの中から、戦いが終わるまで、出ることはできん!」

「え、ええ―――――」

コクピット内で、絶叫する真由。

しかし、まどかは通信のボリュームを下げた。

潤一郎は、真由の感情を無視して、言葉を続ける。


「ロンが持っていた印は、効力を失ったが、ロンの肉体を埋め込んでいるガンスロンは、他の印を奪うことができる!」

コクピット内の画面が変わり、平城京跡から、奈良公園へと移動していく…二匹の巨大生物が映る。

「こいつらは、互いに持つ印を奪い合っている!ガンスロンは、こいつらが潰し合い…消耗した時に、奇襲をかけ、最低でもどちらかの印を奪う!それが…今回の作戦だ」


画面が、ガンスロンのいるところから、二匹の化け物までの進路を示す。

「途中までは、破壊された線路を使う!その後は、死角から、一気に奇襲をかける!」


「お、おじいちゃん!」

真由の叫びは、虚しく…下半身である円盤が、回転し…さらに、肩胛骨辺りに付けられたジェットエンジンが、火を放つ。

「ガンスロン!出陣!」

一瞬にして、一駅分移動して、そのまま信じられないスピードで、ガンスロンは線路上を駆け抜けていく。


「七年前…始まるはずだったバトル!それが、ロンによって、中断された!その時間が、人類に反撃の準備をさせた!神のゲームに!割り込んで、破壊してやるわあああ!」

深緑一色の全身に、2つの肩当てに、日の丸。

零戦に敬意を表したカラーのガンスロンは、一気に、平城京に到達した。