またね。

重い足取りで検査室に向かう。

近づいていくたびに歩くスピードは落ちていく。

そういえば、キミは来なかったな。

ま、時間とか決めてなかったからいつ来るとか

わかんないしね。

来ないかもしれないし。

あぁ、検査の日ってネガティブ思考になっちゃう。

いつもネガティブだけどそれが余計に。


考え事をしているうちに検査室に着いた。

コンコン

「どーぞ。」

ドアを開けながら

『失礼しまーす。』

「今回は逃げ出さなかったみたいだね(笑)」

私の主治医のショウ先生。

なぜか知らないけど、若い看護師さんたちからすごい人気を得ている。

こんなおっさんが?っていつも思う。

「今ウイちゃんが思ったこと当ててみようか?
僕のことおっさんって思ったでしょ。」

『せいかーい。さすがだね。』

抑揚のない声で答える。

『てか、今回"は"じゃなくて今回"も"だから。』

そこんとこ間違わないでねなんて思いながら椅子に腰掛ける。

「そうだったね。いやー、えらいえらい。」

先生の大きな手が私の頭を撫でてくる。

『子供扱いしないでよ。』

「まだまだウイちゃんは子供だよ。しかも超がつくほどわがままな。ね?」

自分が言ったことに自分で笑ってる変な先生。

でも、とてもいい先生だってことは16年間一緒にいたからわかる。

私が唯一本音を言える先生だからだ。

私はショウ先生が主治医だったから今まで生きて来れたのかもしれない。

「ウイちゃん、この前の検査の結果を報告するよ。」

さっきまで笑っていた顔が今は真剣な顔になった。

こういうメリハリがある人私は好き。

なんか疲れないし。

『先生、早く言ってください。』

「うん。本来君の病気はゆっくり進行していくはずなんだ。だけど進むスピードが早すぎる。このままだと・・・」

いきなり黙り込む先生。

そんなに良くなかったのかな。

ま、だいたい分かってたけどね。

私の病気が人より早く進むことぐらい。

『先生?大丈夫だから最後まで言って。』

「このままだと、ウイちゃんの体は悪性の腫瘍がどんどんいろんなとこに転移していくかもしれない。手術をしても全部を取り出せるかわからない。極めて危険な状態だよ。」

悪性の腫瘍・・・ね。

そんなに悪いんだ。私の体。

手術しても取り出せるか分からないなんて。

厄介な病気。