「指示をどうぞ」

と問い掛けてくるミライに、パッと後ろを振り返った。

「所長、ノーマルモードで再起動、でいいんですよね?」

「もちろんさ」

微笑む所長。頷き返してミライに向き直る。

「ノーマルモードで再起動」

「はい、ノーマルモードで再起動ですね」

「YES」

「ノーマルモードで再起動に入ります…」

と一瞬の沈黙の後、身体を小刻みに震わせ始めたミライの瞳に、光がゆっくりと満ちていった。やがてミライが瞼を閉じて、飛び立つかのようにクッと宙に伸び上がった。

(くるぞ)

と伸び上がった身体を一旦ゆっくりと元に戻していくミライ。

(僕の手に戻ってくるんだ、『みらい』が!)

慌てずにその時を待つ。とやがてミライが瞼をゆっくりと開けて僕を見つめた。

「…これからまた、あなたと一緒ね」

微笑むミライ。

「ミライ…」

抱き寄せながら笑顔で見つめた。少し目が潤んでるみたいだ。