「本田君が言ってたよね、ロイはクワンを追いかけて行ったのかもって。ロイにそこまで思わせたのはクワンの心だし、そこまでクワンの心を熱くしたのは、他でもないロイのココロなんだ」

全ては、感じるココロが引き金なんだ。

「僕は良かったのかな。…あの時、所長に感じるココロのヒントを気付かせて、僕はホントに、」

とそこまで言った時、突然ミライが声を上げた。

「もう言わないで!」

と僕の口に手を当てて塞いでくるミライ!

(えっ…)

どうしたんだいミライ、そんな泣きそうな顔をして!

「私、嬉しかった。こんなに素敵なココロをもらえて、とっても嬉しかった。なのにどうしてそんなこと言うの?私のココロも、無い方が良かったっていうの?」

言われて気付いた。

(そうか、)

感じるココロを否定する事は、今のミライも否定する事だ。

「いや、そんな事はないよミライ」

首を振って返すと、ミライがソファの背に身体を預けて顔を伏せて、僕の太股に手を添えながら言葉を続けてきた。

「ちょっと前までこんな風にあなたに触れてるだけで、私とっても嬉しかった。カラダがドキドキしてた。でも今は違う。あなたに触れてもちっとも嬉しくない。ちっともドキドキしない…。ねぇわかる?どうしてだかわかる?」

「…」

わからずに黙っていると、ミライがパッと顔を上げた。