ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

 記者会見が始まった。控え室にしていた事務局を出て局長、所長のあとにミライが続き、その後ろについてホールへと向かった。

「おおーっ!」

ミライがホールへ入ったとたん、驚きの声と共に一斉にフラッシュが焚かれた。長テーブルを前にして並び、眩しいばかりのフラッシュを浴びながら全員でまず一礼する。

(スゴイ…)

礼をした瞬間にもけたたましいフラッシュの音が響く。と、最後に入ってきた本田君が脇に置かれたマイクスタンドの前に立った。

「え~それでは只今より、ここ近未来研究所で開発致しましたヒューマノイドの合同発表記者会見を始めさせて頂きます」

ホールの照明が落とされ、プロジェクターを使って基礎理論と構造が示された。

「…残念ながら、二号機は動作停止という事態に陥りました。その原因としましては…」

ロイのハードウェアシステムの欠陥を、本田君が淡々と説明していく。

「…この結果我々は、一号機のシステムが現時点での完成形であると考えるに至りました。では改めてご紹介致しましょう。こちらが、ここ近未来研究所で完成しました第一号機、ミライです!」

とミライにパッとスポットライトが当たった。同時に一斉に浴びせられるフラッシュ。横顔がストロボのように瞬いて見える程の光のキラメキの中、ミライが立ち上がった。

「ではここから先の説明は、所長であります私、栗栖が務めさせていただきます」

と所長が立ち上がってマイクを握ると同時に、ホールの照明が元に戻った。