ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

 一夜明けた朝。いつもよりも早く起きて身支度を整えている横で、広海君とミライが壁に立て掛けていたテーブルを起こして昨日の勉強会の続きをしていた。広海君はニットとデニムに着替えていたが、ミライは浴衣のままだ。

「…ミライ、帰りに着替えを取って来ようか?」

そのままじゃ可哀そうだし。

「うん、ありがとう」

と、振り向いたミライが立ちあがってタタタッと駆け寄って来た。

「早く帰ってきてね♪」

と僕の腕を取ってニッコリ微笑むミライ。

「ああ、わかったよ」

そんな仕草をされて頷かないわけにはいかない。微笑んで鞄を手に取り入り口のドアへ行くと、ミライもついて来た。

「いってらっしゃい」

とミライが笑顔で小さく手を振ってる。

「うん、行ってきます」

笑顔に見送られて出勤するのも、なかなかいいかもな。