ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)

「ちょっと待ってよ、仮眠室って、私も泊まるのよっ」

と広海君が目尻を吊り上げた。

「大丈夫、布団は四人分あるからさ」

って、あの所長、そういうこと言ってるんじゃないと思いますけど。と案の定、広海君がバッと立ち上がって両手を腰に突っ張り当てた。

「先生と同じ部屋で寝ろって言うのっ?」

と眉間に皺を寄せて言い返してる。いや広海君、何もそんなにイヤそうにしなくても…。

「ウンそうだよ。ミライも一緒に三人で寝れば、な~んにも問題ないよ。ほら、今は非常事態なんだし、ねっ」

とニッと微笑む所長。輝く目が何か企んでるみたいですけど?

「…仕方ないわね」

と渋々席に着く広海君。ん、って事は、広海君と同じ部屋で寝る事になるのか。

(…チャンスかもしれないな)

上手くいけば、彼女と縒りを戻せるかもしれない。ここは勝負どころだ。

「よし、決まりだね」

と所長がパッと僕を見た。

「わかりました。そうしますよ」

と頷き返した流れで、後ろを振り返った。ニッコリと微笑んで立つミライと、表情もなくモニターを見つめる広海君。失敗は許されないゾ。はてさてどうなる…。